Vergilの独り言

語彙力の無さに定評のある、社会人兼どマイナーweb物書きオタクの独り言的な何か。映像作品の感想(とすら呼べるか怪しいもの)を不定期で投稿していきます

(ネタバレ注意)映画感想 其の2 『スパイダーマン:ホームカミング(原題:Spider-Man: Homecoming)』

どうも、バージルです。

前回の記事を読んでくださった方々が少なからずいたようで、嬉しいです。ありがとうございます。

 

さて、約一週間ぶりの更新となります今回は、前回の記事で予告していた通り、こちらの作品について取り上げていきます。

 

 

スパイダーマン:ホームカミング(原題:Spider-Man: Homecoming)』

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所謂アメリカンコミックの製作会社の一つ、マーベルの作品群に登場するヒーロー達が共有する同一の実写映画の世界観、マーベル・シネマティック・ユニバース(Marvel Cinematic Universe:略称:MCU)の最新作。

 

過去にもスパイダーマンは実写映画化されており、この映画はその通算6作目にして3シリーズ目の最初の作品となります。

 

んで、いきなりですが、筆者は声を大にして言わせていただきます。

 

もう、最高!!!

 

スパイダーマンのシリーズとしては文句無く一番良いと呼べる物だったし、MCUとしても最高峰に優れた作品でありました。

MCUの作品には過去幾度となく驚かされ、楽しまされ、心を震わされてきましたが、ここに来てまだこんな引き出しがあったのかと、またも度肝を抜かれてしまいました。

こんなにも完成度の高いヒーロー映画は、もう今後そうそう現れないのではないかというくらい、それくらいに今回のスパイダーマンは素晴らしい傑作となっていました。

 

ありきたりな事ばかり言ってしまうかもしれないですが、どういうところが今作の魅力であったのか、筆者なりに語らせていただこうと思います。

 

筆者は恥ずかしながら、原作のコミックを一切読んだ事が無く、知識としては過去の実写映画5作品と「キャプテンアメリカ シビルウォー」で得られた程度の物くらいしかありません。

その上で言わせていただくと、この映画はヒーローという概念はもちろん、スパイダーマンというキャラクターに対する愛が非常に深く盛り込まれていたと感じました。

 

まず、これは本編が始まる前の話になりますが、いつものマーベルロゴを映すための共通のオープニング映像。

MCUの作品、Dr.ストレンジからリニューアルされ、今作でもその内容が流れていましたが、いつもと違っていたのはその時かかっていたBGM。

なんと、かの有名なスパイダーマンのテーマのオーケストラアレンジバージョンが、作品を盛り立てるトップバッターを飾ったのです!

スパ〜イダマン♪ スパ〜イダーマン♪ フンフフンフ〜ンスパ〜イダマン♪

みたいな感じのアレです(超適当)

 

知らない人には「ふーん」くらいのものだったでしょうが、個人的にはそれだけでとても感心させられたというか、嬉しい気持ちになりました。

 

それから、後述もしますが、スパイダーマンというヒーロー、そしてピーター・パーカーという人間の描き方。

成功や挫折や葛藤など、様々なドラマを与え、深く掘り下げ、彼を見事にスーパーヒーローとして完成させてみせていました。

ちょっと具体的ではないかもしれないので、それはこの後でちゃんと記述していきます。

ですがとにかく、この映画がいろんな意味で愛に溢れていたと

いう事だけは、分かっていただきたいです(強引な纏め)

 

  • 『スーパーヒーローの物語』ではなく、『スーパーヒーローになるまでの物語』

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これまでのMCU作品でもそうではありましたが、今作は特に「普通の人間がヒーローになる」ということが強調されていました。

 

それはなぜかと言うと、この映画の主人公であるピーターは、超人的特殊能力を備えていることを除けば、ただの普通の高校生であり、特殊能力なんてなにも持っているはずがない我々観客と同じ立場と言える存在であるからです。

アイアンマンことトニー・スタークやキャプテンアメリカことスティーブ・ロジャーズ、アントマンことスコット・ラングなど様々なヒーローがいましたが、彼らはみな世の中の酸いも甘いも噛み締めてきた大人達。

更に言えば、社長やら軍人やら科学者やら神やら(笑)、みんな何かしら凄い特徴を持った人ばかりで、憧れを抱く事はあっても親近感を持ったりということは、なかなか難しかったのではないかと思います。

スコット・ラングはかなり観客側に立場を寄せてきていたような気もしますが、それでもちゃんと成人しているので、いろんな経験をしてきたんだろうということが想像できてしまうため、誰もが共感できたという程ではなかったかと。

 

でもピーターは違う。

先述した通り、彼はまだ高校生であるので、勉強に友人に恋愛、そういった誰しもが経験してきたような有り触れた事を楽しみ、青春を謳歌しています。

ピーター・パーカーは過去5作においても、こうした等身大の存在として描かれてきましたが、今作は高校生という設定で更に目線を下げることによって、より入り込みやすいキャラクターになっていました。

 

だから、彼が取る行動理念が理解できてしまう。

 

ひょんなことからスーパーパワーを手に入れ、はしゃぎ、ヒーローとして他人に認められたくて見栄を張って調子に乗って、その結果惨事を招いて大勢の人間を危機に晒してしまう。

なんとも青くて短絡的で、後先や周りを考えない愚かしさ。でもそこに、無理なく納得できてしまう。

それはやはり、その青臭さだったり無鉄砲さだったりが、観客も少なからず経験した事があったからなんだと筆者は思っています。

なので、ピーターのはしゃぎ様も、なかなか大人に認めてもらえないもどかしさも、過ちを犯した事への悔いも、最後の戦いに臨む時の覚悟も、全てを受け入れられ、一体となって物語に没入する事ができたんだと、そう思います。

 

だからこれは、決して「スーパーヒーローの物語」なんかではなく、「ただの人間がスーパーヒーローになるまでの物語」なのです。

 

  • “子供”のピーターと、“大人”のトニー

先述した通り、ピーターはまだまだ子供。

特殊能力を持っているとはいえ、周りに認められたがり、そのために注意も聞かずに勝手に動いてしまう。

もちろん悪意があるわけではないですが、身の程を弁えない行動は結果的に周囲に迷惑をかけることに繋がりがち。今作でのフェリーの件などはその筆頭。頑張りが完全に空回りしていましたね。

 

そんな子供にありがちな勝手さを嗜める役割を務めていたのが、我らが“社長”、アイアンマン=トニー・スタークというわけです。

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↑は最新スーツ、マーク47の画像です(個人的にこのカラーリングはあまり好きじゃない……σ^_^;)

 

手柄欲しさに犯罪者組織が集まっているところに突入し、結果フェリーを真っ二つにする大惨事を引き起こしてしまったピーター。

そこに「やあ、スパイダーマン」と窓から顔を出す社長の(#^ω^)ピキピキっとした威圧感は凄かったです。ロバート流石としか言いようがない。

トニーの助けのおかげで無事に死傷者も出ずに済んだものの、話がそれで終わるはずがない。

自分は何もできなかったことに落ち込むピーターの元に現れ、トニーは失望を露わにした後に言います。

「スーツを返せ」と。

ピーターは焦った様な顔で「これが無きゃ戦えない。誰も救えない」みたいな言葉を返します。

するとトニーは、本気で見限ったように冷め冷めとした口調で言ったのです。

 

「そんな弱い人間にこれを着る資格はない」

 

今一作目のアイアンマンのトニーを見返したら「お前本当にトニー・スタークか?」と言ってしまいたくなるような達観した言葉。

アイアンマン三部作での出来事はもちろん、ニューヨーク、ソコヴィア、そしてシビルウォーでの戦いを経験し、ヒーローである事の責任と重みを味わわされてきた彼だからこそ言えた台詞でありました。

「アイアンマンは繭だった。私がアイアンマンだ」という名言を残したその威厳ぶりは、決して伊達ではなかったのです。

 

つまりあの場面は、ピーターの挫折を描くと同時に、トニーの成長ぶりをも描いていたと言えるでしょう。

経験豊富な先輩ヒーローと、未熟で半人前のヒーロー気取りのピーター、二人の対比が非常によく表れていて、また魅力的だと筆者は感じました。

 

トニーの存在があったからこそ、ピーターの成長ぶりがより活き活きと映えたんだと思います。

 

  • 最高の悪役、バルチャー

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作品への貢献ぶりという話ならば、こいつを取り上げないわけにはいきません。

 

今作のヴィラン——バルチャーです。

MCUでもそうだし、ヒーロー映画全体として見ても、ここまで等身大の悪役はなかなかいないのではないかと思います。

ヒーローが等身大の存在なら、悪役もまた等身大の存在だったわけですね。

 

瓦礫の撤去などを行う業者(正確にはなんて言うのかよく分からない(´∀`))に務めていた彼は、アベンジャーズの戦いの後の仕事中、謎のお偉いさん方に引き継ぎを強制され、仕事を失ってしまいました。

後にそれは、ニューヨークの戦いにも参加していたトニーの計らいで行われた事が判明。資産家の傲慢によって自分達の仕事が奪われたと考えた後のバルチャーことエイドリアン・トゥームスは、瓦礫の中で見つけたエイリアンのハイテク兵器をこっそり回収し、そのテクノロジーを利用して復讐してやろうと企む。

 

ここまででは良くある感じの悪党ってだけかもしれませんが、彼の行動理念はそもそも他の利己的な連中とは根本的に違う。

 

彼の根底にあるのは、悪事に手を染めてでも家族を守りたいという、純粋で人間らしい思いからくるものでした。

家庭を大切に想い、常に良い父親であろうとし、実際家族にもそう思われていた程、根は善良な市民なのです。

 

当然武器の密売や殺人、盗みなど許されるものではありませんが、悪役としてはあまりにも身近で理解できる動機故、観客は同情せざるを得ない。

しかも不幸なことに、彼の娘はピーターの意中の人。戦わないわけにはいかないが、どんな結果になっても彼女が悲しむことは避けられない。そこにドラマが生まれ、否応無しに引き込まれ、二人共に感情を重ねていく。

好き嫌いはあるとしても、魅力を感じない人間はほとんどいないであろうキャラクターであったと、筆者は断言します。

 

そして、なにより、デザインがカッコ良すぎる!翼!マスク!あと機械の翼!(大事なことなので二回言いました)

燃える!超クーール!最高!!はっきり言ってスパイダーマンよりアイアンマンよりカッコ良かった(°▽°)

 

ファルコンとはまた違う、より機械的な意匠が施された翼はなんともロマンに満ちていて、男心をひどくくすぐられました。先週のトランスフォーマーでも興奮していたくらいなので、まあ当然ですね( ˘ω˘ )

 

話は戻りますが、このバルチャーがヒーロー映画史に深く刻まれる(自己裁定)程素晴らしいキャラクターとなったのは、ずばり演じていたマイケル・キートンの存在があったからでしょう。

一般家庭の父親らしさがありながらも、裏で悪事を働いていてもなんらおかしくないような威圧感、それでいて人間味を失っていない親しみやすさ。

スパイダーマントム・ホランド始め、他のキャストもみなベストマッチな配役でしたが、エイドリアン・トゥームス=バルチャーにマイケル・キートンが抜擢されたのは、もはや奇跡と言ってもいいくらいのハマり具合だったと思います。

車の中でピーターと二人きりでO☆H☆A☆N☆A☆S☆H☆Iするシーンは、もうピーターと一緒になってガクガクしたものですね……( ´Д`)

 

アクションやシナリオ、キャラクターや演出だけでなく、キャスティングにまで抜かりのないMCU作品の隙のなさを改めて思い知りました。

 

スパイダーマン:ホームカミングは、バルチャー無くしては語れない。

筆者は、確実にそう思います。

 

  • でもやっぱり一番は!

何を差し置いてもこの映画の見どころはスパイダーマン=ピーター・パーカー、そして彼を演じたトム・ホランドでしょう。

 

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ウホ、いい男♂

今時の女の子が好きそうな、笑顔がキュートな草食系男子ですね。

でも撮影のために相当なトレーニングを積んだそうで、かなりムキムキな肉体をしていました♂ 実際上を脱ぐシーンがあるので、筋肉好きな筆者は思わず雌の眼差しで見てしまっていました♀

 

そんな微妙にホモホモしい話はこの辺にしておき、彼のスパイダーマンは、今まで以上に親しみやすい人物像に仕上がっていたと思います。

話し下手なせいで友達はあんまり多くないけど、逆にそれが憎めない雰囲気を生み出していて、好感が持てる。それでいて、ヒーロー活動時は一転して軽口を叩きまくり、「ちょっとコンビニ行ってくる」感覚で人助けを易々とこなす。

そのどちらの顔も、トムの嫌味のない真っ直ぐな演技によって微笑ましく感じられたのではないでしょうか。それこそ、近所の子供を見るような感じで。

 

しかしそれだけではなく、自分の過ちを後悔する姿、ヒーローとして立ち上がる事を決意する姿など、シリアスな部分もしっかりと見せており、応援せずにはいられない熱い展開に一役も二役も買っておりました。

 

今後もMCUでのスパイダーマンは彼が演じ続ける事になるんでしょうが、彼ならこの先もどんどんレベルアップしていってくれると、筆者は強く期待します。

 

  • 総評

そろそろまとめを。

 

端的に言うと、この作品は本当に面白いです。最高です。ヒーロー映画史上でもトップクラスに高い完成度を誇っています。

 

「ヒーロー物ってたくさんありすぎて何見たらいいかわかんな〜い」とか言ってる“か〜わ〜い〜い〜、って言ってる自分が可愛いと思ってる”系女子とか、「とりあえずなんか面白い映画ある?」と最短で聞いてくるせっかちボーイなんかには最適な作品だと思います(意味不明)。

 

そしてMCUファンなら、絶対見ろ!ソシャゲでガチャを回す分を使ってでも、風俗に行く金を使ってでも必ず観に行け!と言いたいです

史上最高のスパイダーマンが、最上級の興奮へと誘ってくれます(この記事見てる時点で鑑賞済みだろうがネ)。

 

あまりごちゃごちゃ言っても逆効果な気がするので、今回はこの辺で締めさせていただきます。

 

拙い感想もどきを最後まで見ていただき、誠にありがとうございました。

 

あ、それから最後に一つ。

 

親愛なる隣人、スパイダーマンよ。永遠なれ

 

 

  • 8月26日 追記

本日8月26日、実は今作を吹き替えで、しかも人生初の3D4DXで観賞したので、追記という形で短めの感想を。

 

まず、作品への感想の前に、4DXについて。

 

いや、すげえなおい(迫真)

 

映画もこんなに進化したんだな〜ととても驚きました。

劇場用のCMで腐る程見てきていて、それでも今まで一度も4DXというものを体験したことがなかったんですが、いやはやおったまげた。

まさかあんなにグワングワン揺れるとは思いませんでしたよ( ´_ゝ`)

しかもミストに風、なんか背もたれの方に来るバイブレーションもたくさんあって、終始アトラクションとして楽しむことができました。

 

苦手な人は苦手かもしれませんが、筆者はめちゃくちゃ楽しかったです。マジで癖になりそうなくらい。今後も時間と金があれば積極的に行きたいな〜(・ω・`)

 

さて、前置きはこれくらいにして、吹き替え版を観た感想を。

 

最初に、藤原啓治さん、お仕事復帰おめでとうございます㊗️

また藤原さんのトニーが見れて、聴けて嬉しいです。

 

この記事を見ている人で知らない人がいるのか分かりませんが、一応言っておくと、MCUにおいてもメインキャラクターの一人、トニー・スターク=アイアンマンを演じているロバート・ダウニー・Jr.の声を当てている大御所声優の藤原啓治さん(←ここまで長い)は、しばらく療養していて声優としてのお仕事を休養されていました。

その藤原さんの復帰作第一弾が、この『スパイダーマン:ホームカミング』というわけなのです。

筆者が二回目を吹き替えで観たのは、そういう理由もありました。

 

そして本編を観たわけですが、いや〜相変わらず上手い。

ちょっとトーンが高めの感じでしたが、トニーらしい飄々とした感じはありつつも、様々な戦いを経験して幾分か成長したトニーの真面目な心境もしっかり演じ分けられていて、さすがの貫禄を感じました。

声質自体とても好みな事もあり、藤原さんのことがますます好きになりました。これからも体調に気をつけてお仕事に励んでいってほしいですね(゚∀゚)

 

次に、バルチャー=エイドリアン・トゥームスの声を演じた大川透さん。

ジョジョのナレーションとか、攻殻機動隊のサイトーとか、戦国BASARAの家康とか、すっごいマニアックなところでいくと、ゾンビUというゲームにもナビゲーター的な役割のキャラクターで出てきてましたね。

 

渋い。とにかく渋い。

 

いつもより若干しわがれて圧の強い感じの声で喋っていて、悪役っぽい雰囲気をしっかり出しつつ、根っこまでは悪人でない微妙なラインをちゃんと守っていたように思いました。

実のところ大川さんのことをそこまで知っているわけではなかったんですが、凄い人なんだな〜と印象を改めさせられました。今後も注目していきたいです。

 

そして、主人公ピーター・パーカー=スパイダーマンを担当した榎木淳弥さん(実は筆者より歳上の28歳だった……!(゚o゚;;))

筆者は正直全く知らない人だったんですが、ピーターを演じていたトム・ホランドとと同じく、少し高めの声を用いて一生懸命さが伝わるような演技をしていて、最後まで彼と一緒にテンションを上げ下げしながら見ることができました。

先も言ったように、榎木淳弥さんのことは全く知らなかったんですが、ピーター役に榎木さんをキャスティングしたのは正解であったと思います。

スパイダーマン以外でも、吹き替えなりなんなりで見てみたくなりましたね〜。

 

さて、そんな感じで、吹き替え版もとても完成度が高かったように筆者は思いました。

字幕版を観て楽しんだ方も、時間があればぜひ吹き替え版もご覧になってみてください。字幕版とのセリフなどのいろいろな違いを探してみるのも一興だと思いますよ〜(^o^)

 

それでは、短いですがこの辺で。