Vergilの独り言

語彙力の無さに定評のある、社会人兼どマイナーweb物書きオタクの独り言的な何か。映像作品の感想(とすら呼べるか怪しいもの)を不定期で投稿していきます

(ネタバレ注意)映画感想 其の7 『パージ(原題:The Purge)』

どうも、バージルです。

 

更新が不定期ゆえ、本日二つ目になりますが、作品への感想を上げさせていただきます。

 

今回はこちら↓

 

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『パージ(原題:The Purge)』

 

2023年(だったかな?)の少し未来。

一年に一度、12時間だけ、殺人を含む全ての犯罪が合法となる法律『パージ法』が制定されたアメリカに住むある一家の、パージの夜の様子を描いたスリラー映画。

 

筆者はそんなにこの手の映画って頻繁には観ないんですが、実はとても好きです。

 

この映画もあらすじだけは知っていて非常に気になっていて、それでブックオフで見つけたBDを購入してはいたんですが、どうにも優先度が下がっていて観れていなかったんですが(決して存在を忘れていたわけではありません、ええ)、今日ようやく鑑賞することができました。

 

率直に言って、観て良かったと思えた作品でした。

 

  • 人間の欲望がパージ(解放)された世界

この映画を観て、ちょっと違うかもしれませんが、日本の作品「デス・ノート」や「バトルロワイヤル」などを思い出しました。

 

ただし、あちらは両方一部の力ある存在による恐怖と暴力による圧制によって犯罪率の低下を狙った政策であるのに対し、このパージ法は一般人の暴力性、凶暴性、抑圧された感情などを一時的に解放してやることで、それ以外の日の犯罪率の低下を狙う、という感じなので、方向性としては全く逆ですね。

 

劇中ではそのパージ法によって、犯罪率も極端に低下し、経済も好転したということで、パージ法を制定した人はアメリカの父みたいな感じで相当国民にもてはやされているみたいでした。

 

「うわ〜いかれてんな〜」と心では思いつつ、その実では「なんて頭のいい事を考えやがる!」と唸らされてしまいました。

 

だってこれって、すごく納得のいく理屈だと思いませんか?

普段法律で「ダメ!」と言われているからこそ、それを破ってやってしまいたくなるのが人間という生き物。

でも、「一年に一回だけなら好きにやってもいいよ」と言われたらどうでしょう。

「まあ、それなら……」ってなる人がいても不思議ではないと思いませんか? その年に一度のイベントがモチベとなって、それ以外の日を充実して過ごすようにする人がいるのはなんら不思議ではないと思いませんか?

そのしたい事というのが、例え殺人であっても。

 

この手のIF映画では、「もし自分だったら」「現実にあったとしたら」と考えさせられるのが常だと筆者は思っています。

 

そしてこの映画の場合は、まあこんなクレイジーな法律が通るわけがないと分かりきってはいますが、もし身の回りで現実に起こってしまったならと考えると、筆者は恐ろしくて仕方ないです。

 

誰しもが内に不満や鬱憤を少なからず抱えていて、それを発散したいと願っている。そしていざそれが全ての人間に許される機会が与えられたとしたら、何が起こるかなんて目に見えてるじゃないですか。

無論、筆者も参加者にならないとは言い切れない自信があります。

普段から仕事でイライラが溜まっているので、そのせいで腹いせに誰かを殺しに行くかもわかりません。

冗談のように聞こえるかもしれませんが、この法律にはそういう「誰しもを凶行に走らせる魔力」があると思います。

 

ですがなによりも怖いのは、そんな法律があるからと言って平気で殺人や暴行を働けてしまう人間そのもの。

 

どんな超常的な能力や生態を持ったグロテスクなモンスターよりも遥かに恐ろしく醜い怪物、それが人間。

 

欲望や凶暴性を解放した人間という愚かな種族がもたらす恐怖、それがこの映画では分かりやすく、そして鮮烈に描かれていたように思います。

 

  • クッソムカつく顔芸野郎

こういう物語においても、同情する余地のない悪党というのはいるわけで。

今作においては、こーーんな奴らが出てきます。↓

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パージをいい事に殺戮と暴力をしまくるイカれマスク集団。

中でもそのリーダーである若い男が、すっごい顔がムカつく奴で、大変良いキャラしてました(ムカつく)

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劇中中盤くらいで、外で襲われていたホームレスの男を監視カメラで見ていた主人公の息子が、良心からバリケードを解除して家の中に招き入れてしまった事がきっかけで、主人公達はこのクッソムカつく顔芸野郎どもに絡まれることになります。

 

要約すると「そのホームレスはアメリカの経済を腐らせる価値のない男だから、我々がアメリカのためにパージする。だからそいつを引き渡せ。さもなくばお前らも殺す」と要求し、主人公と他の家族達がホームレスを探している最中にもねちっこい言い方で催促してきます。

 

こいつ、本当にウザい(直球)

きっとパージじゃない時は周りに嫌われていたんでしょうね(名推理)

 

ですが実際なところ、この作品には欠かせないくらいに目立つ存在だったので、まあ必要な役であったかなと。最後にはしっかり散ってくれて、悪い後味を残すこともなかったし。

この映画の設定とともに、強烈な印象を残してくれやがりました(悪態)

 

  • 総評

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一言で言うと、設定の面白さを、緊張感の続くシナリオと演出によってすっきりとまとめた良作でありました。

 

人間の持つ暴力性の愚かさ、またその逆の思いやりの素晴らしさなど、パージ法を通して描かれるドラマは、思わず自分の立場になって考えたくなる深さがありました。

 

単純にスリラーとして見てみてももちろんいいですが、少し考察紛いのことをしてみるのも、決して悪くはないと思います。

 

なんでも許される日が来た時、自分は何をするのか。

 

そんなことを考えさせられる、味わい深い映画であったと、筆者は感じました。

 

では、ちょっと短いかもですが、感想はこの辺で。

 

ここまで見ていただき、ありがとうございました。また次の作品でお会いしましょう。